
「幸せの国 第二章」 ~再会の日~
……あれからまもなく一年。少女は幸福を探し求めた旅から戻り、故郷で幸せに暮らしていまし
た。
少年の幸せを祈りつつ、再会できる日を少女は心待ちにしていました。
約束の日、少女のもとへ迎えにきた機関車は飛び立つと、白い雲の中を力強く進んでいきます。
神の使いの鶴が住む森を越え、機関車が少しずつ地上に近づくと、お城の前に着きました。
二人
はお互いを見つけると同時に駆け出し、手を取り合って再会を喜びました。
二人はこの一年間の
出来事を夢中で話しました。そしてお互いに幸せに暮らしてきたことがわかり安心しました。
楽しく話をしながら歩いているとき、偶然見つけた光のトンネルを通り抜けたその瞬間……。
二人は別々の世界へ離ればなれになってしまいました。
少女の目の前には、遊園地や童話の思い出の世界が広がります。
少年のいるところは一面雪の世界、厳しい寒さが待っていました。
二人はそれぞれ夢の世界に迷い込み、不思議な場所や光景を見ることになってしまったのです。
次に少女が見たのは、今にも星が降ってきそうな満天の星空でした。
一方、寒く辛い道のりを行
く少年にもやっと光が差し始め、水の流れる音が聞こえてきました。
雪は溶け、川となり、やが
て大きな滝になりました。そこは天使たちが集い、無邪気に遊ぶ場所でした。
二人に起きた不思議な出来事は、その天使たちのいたずらだったのです。
それぞれ夢の世界をさまよっていた二人でしたが、少女が豊かな果実の森でおいしい果実を口に
している頃、
少年は、以前二人で見たきれいな紅葉の場所を思い出していました。
季節が変わっても、そこに行けば一番きれいなときの光景に見える。二人にとって"変わらない
場所"があったのです。
少女と再会できるかも知れないと思った少年は「もみじの丘」を目指す
と、同じことを考えていた少女と無事再会を果たすことができました。
そして二人は、幸せの国を気づかせてくれた大きな輝く木を見に行こうと帆船で出発しました。
帆船の周りには二人の再会を祝福するようにクジラやイルカが集まってきました。
イルカに案内
されるように船が着いたところは、たくさんの人で賑う港町でした。
音楽堂では、楽しい演奏に
踊りだす人や一緒に歌う人もいます。そこには二人の知っている人たちが次々に現れます。
今ま
で仲良く出来なかった友達、ありがとうと言えないままそれっきりの友達、二人とも余りにもた
くさんの人と出会っていたことに驚きました。
そして、仲間を思いやることと感謝の気持ちは、
忘れてはならない大切なことだと改めて知らされたのです。
二人は夢と希望を胸に抱きながら、大きな輝く木の前に立つと、今いる場所は「幸せの国」であ
ることを確信したのでした。
~ おわり ~